条件文
流れ図
プログラムは記述した順に実行されました。 次のようなプログラムがあったとします。
文1 文2 文3
ここでは、文1~3は代入文かprint文だと考えてください。 このプログラムを実行すると、文1~3はこの順に実行されます。
実行の順序を図で表すと次のようになります。
処理の流れ(実行順序)を表すための図を流れ図といいます。
条件文の書き方
いつも同じ処理をするだけでなく、場合によって処理内容を変えることができると、もっといろんなプログラムが書けます。
条件によって処理内容を変えるための、もっとも基本的な文が if文 です。
if文の書き方は
です。
丸で囲まれたところはその通りに書きます。 条件のところには、数の比較などが書けます。 文のところには、代入文や print文などが書けます。
if文はしばしば数行を使って記述します。
例を示します。
if ( tate > 20 ) { wa = tate + 10; sa = tate - 30; }
書き方と対応させて見ましょう。 丸で囲まれた部分に対応する if ( ) { } の位置を確認してください。
条件に対応するのは tate > 20 だと分りますね。
文に対応するのは wa=tate+10; と sa=tate-30; の2行です。
条件文の実行
if文の処理順序は次のようになります。
- (1) 条件が成り立つか判定する
- (2) 条件が成り立っているときだけ、{ } で挟まれた文を実行する。
条件が成り立たないときは、(2)では何も行われないことになります。
このようなプログラムがあったとします。
文1 文2 if ( 条件 ) { 文3 文4 } 文5
このプログラムを流れ図であらわすと、次のようになります。 点線で囲んだ範囲が if文に対応する部分です。
処理順序は
- (1) 文1が実行されます。
- (2) 文2が実行されます。
- (3) 条件が成り立つか判定されます。
- (4) 条件が成り立っているときだけ、文3、文4の順に実行されます。
- (5) 文5が実行されます。
です。
条件
条件のところには、数値の比較などが記述できます。 他にも論理式を含め、いろいろな条件を記述できますが、この授業では2つの数値の比較のみを扱います。
数値とは、リテラルで表された数値、変数名が表す数値、それらを使った数式、関数などのことです。
2つの数値が、等しいか、等しくないか、大きいか、小さいかなどの比較ができます。
比較を表すには次の記号を使います。
記号
意味
==
等しい
!=
等しくない
>
大きい
>=
大きいか等しい
<
小さい
<=
小さいか等しい
等しいことの判定にはイクオール2つ、等しくないことの判定には!とイクオールです。注意してください。
例
意味
maru == 12
maruの値が12と等しい
hidari < migi
hidariがmigiより小さい
x + y >= 30
x+yの値が30より大きいか等しい
書き方の例
条件が成り立つときだけ実行される部分を、右にずらして書いています。 このように揃えて分りやすく書きましょう。
if ( tate > 20 ) { wa = tate + 10; sa = tate - 30; }
print 文も使えます。
if ( tate == 20 ) { wa = tate + 10; print( '縦が20です' ); }
条件が成り立つときだけ実行される部分が1文だけのときは、このように書くこともあります。
if ( tate <= 20 ) { wa = tate + 10; }
条件が成り立つときだけ実行される部分が1文だけのときは、括弧を省略することもできます。今回は使いません。
if ( tate != 20 ) wa = tate + 10;
条件文の書き方(1)
if文の書き方は
であり、処理の流れは図に示す通りです。 図では、いくつかの文をまとめて処理という箱で表しています。 条件が成り立つときだけ、処理の部分を実行します。
この流れ図に対応するif文は次のように書きます。
if ( 条件 ) { 処理 }
条件文の書き方(2)
条件が成り立つときとそうでないときで、別の処理をさせたいことがあります。 流れ図で示すような場合です。
条件が成り立つときは処理1を行い、そうでないときは処理2を行います。
この流れ図に対応するif文は else を使って次のように書きます。
if ( 条件 ) { 処理1 } else { 処理2 }
処理と書いた部分は、文がいくつか並んだものです。 { と } で挟まれた部分は、このように右にずらして書くと分りやすい。
elseを含むif文の構文図はこのようになります。
条件文の書き方(3)
if文の中の処理の部分には、代入文やprint文だけでなく、if文を書くこともできます。 そうすることで、いくつもの場合に分けた処理を行うことができます。
多くの場合に分けるときは、次のように考えます。
条件1が成り立つときは、処理1を行い、
そうではなくて(条件1が成り立たなくて)条件2が成り立つときは、処理2を行い、
そうではなくて(条件1も条件2も成り立たなくて)条件3が成り立つときは、処理3を行い、
そうではない(条件1も条件2も条件3も成り立たない)ときは、処理4を行う。
この流れ図に対応するif文は次のように書きます。
if ( 条件1 ) { 処理1 } else if ( 条件2 ) { 処理2 } else if ( 条件3 ) { 処理3 } else { 処理4 }
if文と流れ図が対応していることを、確認してください。 最初の条件は if で、2番目以降の条件は else if で記述します。 最後は else です。
例題
次の図で haba を与えて、面積と周囲の長さを表示する関数 kao を作りなさい。
プログラムのおよその形はこのようになりました。 3行目以下で計算し、変数 wa に面積を代入しています。 そのあとprint文を使って表示します。面積のみ示していますが、実際は他の表示も必要です。 値を返さないreturn文を使っています。値を返してもかまいません。
function kao ( haba ) { var ... ... wa = ... print ( '面積は', wa, 'です' ); return; }
面積の計算
面積を計算するには、四角や三角の部分に分けて部分ごとに面積を計算し合計します。 さらに2つの円の面積を計算して、これを引けば求まります。
関数の中でprintを行っているので、引数の値を変えて呼び出すことで結果が表示されます。 例えば
js> kao(9); 幅 9 のとき 面積は 111.80 です js> kao(10); 幅 10 のとき 面積は 125.66 です
のようになります。
これらは正しく計算されているようですが、引数の値によっては正しく計算できない場合があります。
幅6のときを計算させてみると
js> kao(6) 幅 6 のとき 面積は 67.98 です
と表示されますが、実際の形と比べてみると正しくないことが分ります。
円の半径が2ですから、幅が8より小さいときは範囲内に2つ並べることができず、はみ出してしまいます。 このような場合は、面積を求めることができません。
また幅が20より大きくなるとアゴの三角形ができなくなり、この場合も面積は求まりません。
計算が正しく行えないときは、そのことを表示するようにしましょう。
if文を使って
条件 haba < 8 が成り立つときだけ '幅が小さすぎます' が表示される
ようにします。
function kao ( haba ) { var ... ... wa = ... print ( '面積は', wa, 'です' ); if ( haba < 8 ) { print( '幅が小さすぎます' ); } return; }
条件 haba < 8 が成り立つときだけ、print( '幅が小さすぎます' ); が実行されます。 条件 haba < 8 が成り立たないときは、print( '幅が小さすぎます' ); は実行されません。
したがって、habaの値が 6 のように8より小さいときにはprintが行われ、 habaの値が 10 のように8より大きいときにはprintは行われません。
実行するとこのようになります。
js> kao(6); 幅 6 のとき 面積は 67.98 です 幅が小さすぎます js> kao(10); 幅 10 のとき 面積は 125.66 です
実際には、幅が小さすぎるときや大きすぎるときには 面積がを表示しないようにするのがよい。