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行 2: 行 2:
== ばらばらにする ==
{{{
 void mazeru()
== 解のある配置を作る ==

右下の1つを除いた他のピースをばらばらに入れ替えた後、
スライドするだけで元の位置に戻すのがこのパズル(15ゲーム)の問題です。

どんなにばらばらに配置しても元の位置にもどせるのかというと、そうではありません。

 . '''元にもどせる配置と、元にもどせない配置があります。'''

どんな配置だと元にもどせるかを解説した後、
元にもどせる配置だけを作成するメソッドを示します。

----
=== ちょっと数学的な説明 ===

 並び、置換、互換とその関係の説明をします。

==== 並び ====

並べるものの一つ一つを数で表すことにすると、
例えば5つのものの'''並び'''は
 . (1,2,3,4,5) や
 . (1,3,5,4,2) や
 . (4,3,2,5,1)
のように書けます。

並び(4,3,2,5,1)は
 . 4という目印のものが1番目に
 . 3という目印のものが2番目に
 . 2という目印のものが3番目に
 . 5という目印のものが4番目に
 . 1という目印のものが5番目に
並んでいることを表しています。

==== 置換 ====

 . ものの並びの順番を入れ替える操作を(数学の用語では)'''置換'''と言います。

たとえば
 . 並び(1,2,3,4,5)を
 . 並び(1,3,5,4,2)に変える操作
も置換の1つです。

==== 互換 ====

 . 置換のうち2つの要素を互いに入れ替えるものを互換といいます。

たとえば
 . 並び(1,2,3,4,5)を
 . 並び(2,1,3,4,5)に変える操作
は互換の1つです。

交換される2つ以外の要素の位置は変わりません。

==== 互換の積 ====

 . 置換は互換の積で表すことができます。

どんな置換(入れ替え)も、互換(2つの入れ替え)を繰り返すことで行うことができるという意味です。

たとえば、並び(1,2,3,4,5)を並び(1,3,5,4,2)に変えるには
 ||<:>元の状態||<:>互換||<:>入れ替え後の状態||
 ||<:>(1,2,3,4,5)||<:>2と3を入れ替え||<:>(1,3,2,4,5)||
 ||<:>(1,3,2,4,5)||<:>2と5を入れ替え||<:>(1,3,5,4,2)||
と、2回の互換で行うことができました。

==== 偶置換、奇置換 ====

何回かの互換を繰り返すことで置換ができることがわかりました。

上の例では2回の互換で目的の置換ができましたが他の手順も考えられます。
 ||<:>元の状態||<:>互換||<:>入れ替え後の状態||
 ||<:>(1,2,3,4,5)||<:>2と3を入れ替え||<:>(1,3,2,4,5)||
 ||<:>(1,3,2,4,5)||<:>2と4を入れ替え||<:>(1,3,4,2,5)||
 ||<:>(1,3,4,2,5)||<:>2と5を入れ替え||<:>(1,3,4,5,2)||
 ||<:>(1,3,4,5,2)||<:>4と5を入れ替え||<:>(1,3,5,4,2)||
4回の互換で行うことができました。

ほかにもいろいろな手順が考えられます。

しかしどの方法をとっても、
並び(1,2,3,4,5)を並び(1,3,5,4,2)に変えるには
互換の回数は偶数回になります。

 . '''どんな置換も互換を繰り返すことでできるが、互換の回数は偶数回か奇数回のどちらかに決まる。'''

奇数回の互換で表される置換を'''偶置換'''といいます。

偶数回の互換で表せれる置換を'''奇置換'''といいます。

----
=== 15ゲームが解ける条件 ===
15ゲームでは
偶置換の問題は解けますが、奇置換の問題は解けません。

偶置換の問題だけを作るようにプログラムを作成します。
----
=== プログラム ===
最初に正しい位置に配置した後で
互換を偶数回行うことで問題を作成します。

メソッドshokikaに次の処理を追加してください。
 . ... で示した箇所は、前回作成したものです。
 . ... の箇所で、正しい位置に配置しています。(前回作成)
 . 6行目以下が互換を偶数回行う処理です。
 . 3行目は変数宣言です。必要に応じ修正してください。

{{{#!java
 void shokika()
行 6: 行 112:
  int i, j, x1, y1, x2, y2, w;
  
  ban = new int[nx][ny];
  for(i = 0; i < nx; i++) // 元の位置
   for(j = 0; j < ny; j++)
    ban[i][j] =i + j * nx;
  spx = nx-1; // 空白の位置
  spy = ny-1;
  for(i = 0; i < (nx*ny*2); i++) // 偶数回置換
  int x, y, x2, y2, w, cnt;
  ... // この部分は前回のまま
  ... // 数行あります
  for (cnt = 0; cnt < (tate*yoko*2); cnt++)
行 16: 行 117:
   do    x = (int)(Math.random() * (yoko-1));
   y = (int)(Math.random() * (tate-1));
   if(Math.random() < 0.5)
行 18: 行 121:
    x1 = (int)(Math.random() * nx);
    y1 = (int)(Math.random() * ny);
    x2 = (int)(Math.random() * nx);
    y2 = (int)(Math.random() * ny);
   } while ( (x1 == x2 && y1 == y2) ||
    (x1 == spx && y1 == spy) || (x2 == spx && y2 == spy) );
   w = ban[x1][y1];
   ban[x1][y1] = ban[x2][y2];
    x2 = x;
    y2 = y + 1;
   }
   else
   {
    x2 = x + 1;
    y2 = y;
   }
   w = ban[x][y];
   ban[x][y] = ban[x2][y2];
行 30: 行 135:

==== プログラムの解説 ====

8~22行目が1つの互換を行う処理です。

その外側のforループを偶数回繰り返すことで偶置換の問題を作り出しています。

1つ1つの互換は ban[x][y]にある内容を、その右隣または直下の内容と入れ替える操作にします。

 . {{attachment:tikan1.png}}

入れ替え元の位置を(x,y)、入れ替え先の位置を(x2,y2)とすると
入れ換えの操作は20~22行目のように書けます。

右隣と入れ換えるときは
 . x2 = x + 1
 . y2 = y
直下と入れ換えるときは
 . x2 = x
 . y2 = y + 1
となっていればよい。

10~19行目で乱数の値により、そのどちらかを行っています。

8,9行目ではxとyの値を乱数で決めています。
乱数は横の数、縦の数より1つ小さい範囲に制限しています。
この結果、互換は下図のどれかが行われることになります。

矢印で示した互換を乱数で選び何度も繰り返すと、右下隅以外のピースがばらばらに配置されます。

 . {{attachment:tikan2.png}}

右下隅のピースは入れ換えられないことに注意してください。

右下隅のピースはゲーム中は取り除くので、このピースを除いた他のピースの置換(互換)だけを考えなければなりません。
----
=== 演習 ===
前回作成したプログラムを複製(名前を変えて保存)した後、
次を行いなさい。

(1)クラス名を Game2 に修正しなさい。
 * それに伴い修正が必要な箇所が、ファイル名を含め数箇所あります。

(2)メソッドshokikaに上で示した処理を追加し、動作を確認しなさい。

解のある配置を作る

右下の1つを除いた他のピースをばらばらに入れ替えた後、 スライドするだけで元の位置に戻すのがこのパズル(15ゲーム)の問題です。

どんなにばらばらに配置しても元の位置にもどせるのかというと、そうではありません。

  • 元にもどせる配置と、元にもどせない配置があります。

どんな配置だと元にもどせるかを解説した後、 元にもどせる配置だけを作成するメソッドを示します。


ちょっと数学的な説明

  • 並び、置換、互換とその関係の説明をします。

並び

並べるものの一つ一つを数で表すことにすると、 例えば5つのものの並び

  • (1,2,3,4,5) や
  • (1,3,5,4,2) や
  • (4,3,2,5,1)

のように書けます。

並び(4,3,2,5,1)は

  • 4という目印のものが1番目に
  • 3という目印のものが2番目に
  • 2という目印のものが3番目に
  • 5という目印のものが4番目に
  • 1という目印のものが5番目に

並んでいることを表しています。

置換

  • ものの並びの順番を入れ替える操作を(数学の用語では)置換と言います。

たとえば

  • 並び(1,2,3,4,5)を
  • 並び(1,3,5,4,2)に変える操作

も置換の1つです。

互換

  • 置換のうち2つの要素を互いに入れ替えるものを互換といいます。

たとえば

  • 並び(1,2,3,4,5)を
  • 並び(2,1,3,4,5)に変える操作

は互換の1つです。

交換される2つ以外の要素の位置は変わりません。

互換の積

  • 置換は互換の積で表すことができます。

どんな置換(入れ替え)も、互換(2つの入れ替え)を繰り返すことで行うことができるという意味です。

たとえば、並び(1,2,3,4,5)を並び(1,3,5,4,2)に変えるには

  • 元の状態

    互換

    入れ替え後の状態

    (1,2,3,4,5)

    2と3を入れ替え

    (1,3,2,4,5)

    (1,3,2,4,5)

    2と5を入れ替え

    (1,3,5,4,2)

と、2回の互換で行うことができました。

偶置換、奇置換

何回かの互換を繰り返すことで置換ができることがわかりました。

上の例では2回の互換で目的の置換ができましたが他の手順も考えられます。

  • 元の状態

    互換

    入れ替え後の状態

    (1,2,3,4,5)

    2と3を入れ替え

    (1,3,2,4,5)

    (1,3,2,4,5)

    2と4を入れ替え

    (1,3,4,2,5)

    (1,3,4,2,5)

    2と5を入れ替え

    (1,3,4,5,2)

    (1,3,4,5,2)

    4と5を入れ替え

    (1,3,5,4,2)

4回の互換で行うことができました。

ほかにもいろいろな手順が考えられます。

しかしどの方法をとっても、 並び(1,2,3,4,5)を並び(1,3,5,4,2)に変えるには 互換の回数は偶数回になります。

  • どんな置換も互換を繰り返すことでできるが、互換の回数は偶数回か奇数回のどちらかに決まる。

奇数回の互換で表される置換を偶置換といいます。

偶数回の互換で表せれる置換を奇置換といいます。


15ゲームが解ける条件

15ゲームでは 偶置換の問題は解けますが、奇置換の問題は解けません。

偶置換の問題だけを作るようにプログラムを作成します。


プログラム

最初に正しい位置に配置した後で 互換を偶数回行うことで問題を作成します。

メソッドshokikaに次の処理を追加してください。

  • ... で示した箇所は、前回作成したものです。
  • ... の箇所で、正しい位置に配置しています。(前回作成)
  • 6行目以下が互換を偶数回行う処理です。
  • 3行目は変数宣言です。必要に応じ修正してください。

   1         void shokika()
   2         {
   3                 int x, y, x2, y2, w, cnt;
   4                 ... // この部分は前回のまま
   5                 ... // 数行あります
   6                 for (cnt = 0; cnt < (tate*yoko*2); cnt++)
   7                 {
   8                         x = (int)(Math.random() * (yoko-1));
   9                         y = (int)(Math.random() * (tate-1));
  10                         if(Math.random() < 0.5)
  11                         {
  12                                 x2 = x;
  13                                 y2 = y + 1;
  14                         }
  15                         else
  16                         {
  17                                 x2 = x + 1;
  18                                 y2 = y;
  19                         }
  20                         w = ban[x][y];
  21                         ban[x][y] = ban[x2][y2];
  22                         ban[x2][y2] = w;
  23                 }
  24         }

プログラムの解説

8~22行目が1つの互換を行う処理です。

その外側のforループを偶数回繰り返すことで偶置換の問題を作り出しています。

1つ1つの互換は ban[x][y]にある内容を、その右隣または直下の内容と入れ替える操作にします。

  • tikan1.png

入れ替え元の位置を(x,y)、入れ替え先の位置を(x2,y2)とすると 入れ換えの操作は20~22行目のように書けます。

右隣と入れ換えるときは

  • x2 = x + 1
  • y2 = y

直下と入れ換えるときは

  • x2 = x
  • y2 = y + 1

となっていればよい。

10~19行目で乱数の値により、そのどちらかを行っています。

8,9行目ではxとyの値を乱数で決めています。 乱数は横の数、縦の数より1つ小さい範囲に制限しています。 この結果、互換は下図のどれかが行われることになります。

矢印で示した互換を乱数で選び何度も繰り返すと、右下隅以外のピースがばらばらに配置されます。

  • tikan2.png

右下隅のピースは入れ換えられないことに注意してください。

右下隅のピースはゲーム中は取り除くので、このピースを除いた他のピースの置換(互換)だけを考えなければなりません。


演習

前回作成したプログラムを複製(名前を変えて保存)した後、 次を行いなさい。

(1)クラス名を Game2 に修正しなさい。

  • それに伴い修正が必要な箇所が、ファイル名を含め数箇所あります。

(2)メソッドshokikaに上で示した処理を追加し、動作を確認しなさい。

解のある配置を作る (最終更新日時 2012-01-25 00:55:25 更新者 masahiko)